大阪地方裁判所 平成8年(わ)3096号 判決 1997年10月24日
国籍
韓国(慶尚南道川郡雙栢面坪邱里一六一番地)
住居
大阪府吹田市佐井寺四丁目三一番八号
消費者金融業
木下猛雄こと李虎萬
一九四九年五月一〇日生
主文
被告人を懲役二年及び罰金八二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金二〇万円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する。)被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、大阪市淀川区十三東一丁目一七番一三号水交ビル三階において、「ローンズオータケ」の名称で消費者金融業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 平成四年分の実際の総所得金額が二億四八五六万八〇五三円(別紙一の1修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が一億一九四〇万九〇〇〇円(別紙一の2税額計算書参照)であったにもかかわらず、事業にかかる実際の所得金額とは関係なく、ことさら過少な所得金額を記載した所得税確定申告書を作成し、その所得の一部を秘匿した上、平成五年三月一五日に同市淀川区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の右事業年度の総所得金額が、一八四四万三〇〇〇円で、これに対する所得税額が四七二万八〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、別紙一の2税額計算書記載のとおり、同年分の所得税一億一四六八万一〇〇〇円を免れ
第二 平成五年分の実際の総所得金額が二億五九三〇万七二三二円(別紙二の1修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が一億二四七六万四〇〇〇円(別紙二の2税額計算書参照)であったにもかかわらず、前同様の手段により、その所得の一部を秘匿した上、平成六年三月一四日に前記所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、平成五年分の右事業年度の総所得金額が一八八一万円で、これに対する所得税額が四八七万四八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、別紙二の2税額計算書記載のとおり、同年分の所得税一億一九八八万九二〇〇円を免れ
第三 平成六年分の実際の総所得金額が二億三〇四六万三六〇一円(別紙三の1修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が一億八二五万四〇〇〇円(別紙三の2税額計算書参照)であったにもかかわらず、前同様の手段により、その所得の一部を秘匿した上、平成七年三月一五日に前記所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、平成六年分の総所得金額が二二九六万五七〇〇円で、これに対する所得税額が五二七万六八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、別紙三の2税額計算書記載のとおり、同年分の所得税一億二九七万七二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
かっこ内の番号は検察官の証拠請求番号を示す。
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官調書(乙二)
一 査察官調査書一九通(甲七ないし二三、二五、二八)
一 査察官調査報告書(甲三〇)
判示第一の事実について
一 査察官調査書(甲二七)
一 脱税額計算書(甲一)
一 証明書(甲四)
判示第二の事実について
一 査察官調査書(甲二四)
一 脱税額計算書(甲二)
一 証明書(甲五)
判示第三の事実について
一 査察官調査書二通(甲二六、二九)
一 脱税額計算書(甲三)
一 証明書(甲六)
(法令の適用)
被告人の判示各所為は、それぞれ平成六年法律第一〇九号による改正前の所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し、かつ情状により同法二三八条二項を適用して右の罰金の額はその免れた所得税の額に相当する額以下とし、以上は、平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)による改正前の刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役二年及び罰金八二〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
(出席した検察官 宮田誠司、求刑懲役二年及び罰金一億円)
(裁判官 伊元啓)
別紙一の1
修正損益計算書
<省略>
別紙一の2
税額計算書
<省略>
別紙二の1
修正損益計算書
<省略>
<省略>
別紙二の2
税額計算書
<省略>
別紙三の1
修正損益計算書
<省略>
別紙三の2
税額計算書
<省略>